広島の赤い川

 広島に赤い川が流れる。
赤いTシャツと赤い帽子に応援グッツを抱えた群衆が、川のようにスタジアムに向けて流れる。広島駅からマツダスタジアムまで800mのカープロードのことだ。

 広島駅に乗り入れるローカル線からも新幹線からも、赤い人並みがぞろぞろと現れ大きな流れに吸い込まれてゆく。駅近くのジムに出向く私もこの川の流れにのり、お祭りのようにウキウキするのである。試合当日の数時間前に露店が並ぶ。「缶ビール ハンガク! カラアゲ弁当ハンガク!」と叫ぶ売り手の声の主も、赤い半纏だ。

ジムのロビーでの会話
「カープが負けると主人の機嫌が悪くて・・困るのよ」と嘆くご婦人。
「どうなっている?」これは、試合の点数のことらしい。見知らぬ人も「〇対〇で勝っているよ」と教えあう。なんとも、ほほえましい光景だ。

序盤、リーグ三連覇のカープが5連敗した。その頃、あるカープ女子は「ストレスで夜眠れない。それで持病が悪化した」と嘆く。
なんと、ありがたいフアンであろう。

 私は、TVの解説を聞いて選手の個性や人となりを知り、面白さを知った。どの選手がどのような状況で投げて、守って、打ったのかに興味がある。3万3千人の観客、9回裏2アウト満塁フルカウントで、次の一球! 手に汗握る場面だ。TV画面はピッチャーの表情をアップで映す、次にバッターの表情に画面が変わる。各選手の心理状態を憶測する、こんなスリリングな場面は、他ではなかなか味わえない。

 リーグ優勝の経済効果は、350億円という。カープフアンのストレス発散に大きな役目をはたしているのは事実だ。


かくいう私は、まだMAZDA ZOOM-ZOOMスタジアムに一度も出向いていない。球場での応援の仕方を知らない。応援中なんども繰り返すスクワット、フウセンの飛ばし方しかり。球場では「迫力が違うわよ」と友人が言う。TVの前でキャーとかワーオと叫んでいる、半端なカープ女子である。