そうていない

 昨年は、「そうていがい」という言葉が地球上で頻繁に聞かれた。“思ってもいない事態”が出来することを云う。それが異常気象だけでなく、世界の政治・経済・社会現象、外交問題に及ぶ。いつどこで何が起こるかわからない、いつからだろう。何があってもおかしくない地球になっていた。

 記憶に新しいのは、3.11の大災害に続く、自然災害だ。ゲリラ集中豪雨とか、トルネード(竜巻)、想定外の猛暑・マイナス数十度の寒波が北アメリカ、欧州に起きている。専門家はさまざまな説を語る。“ミニ氷河期の到来だ”“太陽の黒点の数が増えている”とか。温暖化の問題を越えているのだと。どの説も少しづつ本当なのであろう。

 四季が鮮明でなくなって久しい。地球を旅して考える。インカ人の文明もマヤ歴のカレンダー、古代エジプト文明、ケルトの民族も5000年前から、冬至と夏至を知り、想定内で地球が動くことを基に築かれていた。現地を訪ね、現物に触れてリアルに感じた。旅の記録を読み直し、あの日の自分に反っている。

南米パタゴニア
パイネの朝焼け

 誇れる想定内 五分毎に新幹線の列車がホームに飛び込んでくる。想定を裏切られない正確さは、世界屈指の文化として誇れるものだ。アメリカの友人曰く「小さな島国の日本で“そんなに急ぐ交通網が必要なのかい?」私曰く「だから必要なのよ。技術立国としては、スピードがビジネスマンの必須アイテムだから」と答えたことがある。いま、少し違っている。

 安全を支えるきめ細かな配慮は、マニュアル文化だけでは不可能にちかい。暗黙の了解と以心伝心という、高度な精神文化が絶妙に塩梅されてこそ可能なのだと思っている。だから世界に誇れるのである。

 私の利用するJRの在来線は、単線ダイヤの離合駅である。ホームで列車を待っていて双方から正確に電車の灯りが見えとうれしくなる。裏切らない「そうていない」だからだ。それで、数か月先、数千キロ先への予定が立つのだ。9年間のひとり旅を経験則にして(想定内を信じて)、2か月先と4か月先にヨーロッパとアメリカへの旅を予約した。飛行機が飛ぶ大気圏のジェット気流や貿易風に乱れがなく、太陽と銀河系惑星の軌道に、想定外が起こらないように祈りながら・・。しかし、想定外の延長線に近代文明が発達してきたのも事実である。

ふと見ると山の端の夕焼け雲が美しい。5000年前の人類も、同じ様に心動かされたのであろう。

カリブの夕焼け