Gradle Mountain ・・・TASMANIA

11月1日、南太平洋に浮かぶフランス領の島々ニューカレドニアを巡る2週間のCruiseを終えて、オーストラリアのシドニー港に戻った。シドニー空港近くのホテルに大きなスーツケースを預け、45kのザックと登山靴の装備に変装した。数時間後に約2時間のフライトでタスマニアに行くためだ。 タスマニアはオーストラリアの南にある島で北海道の80%の面積という。「いつか行きたいところ」の一つだった。太古の自然が残っていて、独自の生態系を厳しく守っている島と聞いていたからだ。                    ロンセストン空港 カンタス航空のジェットスター機は定刻にロンセストン空港に到着、タラップを降りると涼やかな風にのって「草いきれ」のような昔懐かしい香りを嗅いだ。大きく深呼吸。日本人は私だけみたい。空港の審査場では麻薬犬でなく、植物探知犬が活躍していた。ニュージーランドの入国審査を想いだした。           ロンセストン市街地 島の全面積の約50%が森林、40%が国立公園とその他の保護地域、更に25%は世界遺産に指定を受けた原生地域となっている。 ステップ 草原 世界遺産とされたその所以は、2億5千年前の超大陸ゴンドワナ時代の流れを汲む太古の自然だという。苔むした原生雨林の中に残る巨大な木性シダや南極ブナ、針葉樹、広がる台地の中に突如としてそびえ立つ岩峰。氷河で削られた深いU字谷の底を流れる褐色の流れ、哺乳類で最も原始的といわれる有袋動物たち、恐竜の時代ジュラ期からスタートして生き残った太古の自然の姿ときいて驚く。 翌日から私は、その原生地域で今最も注目を集めているオーバーランドトラック(Around Gradle Mountain trekking)を2泊3日で歩くTourに日本から申し込んでいた。16万ヘクタールに及ぶ世界遺産のクレイドルマウンテン国立公園を南北に縦断する魅惑のハイキングルートと紹介されていた。初日4時間、2日目9時間、3日目3時間を氷河で形成された高原状のトラックを登って降って歩くコースだ。 Gradle Mountain をバックに   タブ湖 約束の時間にホテルに男女2名のガイドが迎えに来てくれた。今回はオーストラリアの女性4名(母と娘と友人)と私の5名だ。山では急に天候が変わり相当に寒いらしい。無料で雨具とザックを貸してくれるが、私は日本から準備したものを使った。 ガイドはドライバーもロッジでのクッキングも大きな荷物を背負ってマウンテンガイドの他にも樹木やネーチュアの説明も救急の技術も持っているマルチ人間だ。フレンドリーな5名の仲間とは すぐに仲良くなり、ロッジ泊での食事も楽しい会話に終始した。 トレッキングは十分に満足できるものだった。連日、おいしい空気と水、大地と命の息吹を感じつつ、有袋動物(ウオンバットやワラビー)に出合えると息をこらして近くでレンズに収めることに集中していた。 観光産業が大きな部分を占めるこのエリアは安全で満足を与える仕組みが既に十分にできていた。もちろん英語のガイドで説明はアバウトにしか理解できなかった。特に昔から伝わる逸話(story)は何となく「こんなことかなー」と自分流に理解することにした。 男性ガイドの脚は長い、日本の山旅ガイドよりずいぶん早いスピードだ。彼の一歩は私の2歩・・。平地はまるでジョギングのようについて歩いた。特異な形の玄武岩の岩峰が次々に登場してきた。私は短い脚を可能な限り伸ばして縮めてガイドについてゆく。最終日は20代の女性と私とガイドの3人だけになり3時間コースを2時間で歩いた。 クレイドルマウンテン、澄み切った冷気が吹き渡る病気も害虫もいない清浄な島・・全くその通り・・この大地で生産される野菜、肉、牛乳、チーズ、果実、ワイン それらはすべて自然で安全な食の素材という、日本にも輸出されているという。 水温の低い澄み切った海域からはまた、伊勢えびやアワビ、トレバラ(目鯛)、養殖のサーモンやカキなど豊かな海の幸がふんだん穫れるらしい 私以外の4名は10日間コースを旅するのでホバートの方を巡っているのだろう。3日目の午後、私をロンセストンから50人乗りの大型バスが迎えにきた。一人だけのってドライバーと話しながら3時間をかけてホテルに戻った。 心地よい筋肉痛を得て去りがたい余韻を残すいい旅だった。若い女性Naomi phesterとはE-mailを交換している。